冷戦史 歴史

ジェット機同士の空中戦

投稿日:2018年4月7日 更新日:

空中戦の歴史

ライト兄弟が世界初の有人動力飛行を成し遂げたのは、1903年のことでした。その後、航空機の技術は急速に発展し、1950年代にはとうとうジェット機の時代に突入します。

朝鮮戦争はジェット機同士による空中戦が行われた、初の戦争となりました。今回はそんな朝鮮戦争時の空中戦について説明していきます。

※本記事は冷戦史第2回の下記コメントについての補足です。
「中共義勇軍に偽装ソ連空軍機とパイロットも参戦した模様」
「はじめてジェット戦闘機同士の戦闘が行われたりと戦史としても影響が大きいな」

 

戦争と航空機

航空機はその発明の当初から、戦争と関りがありました。ライト兄弟も発明されたばかりの飛行機を米陸軍に売り込んだりしていたようです。

1914年に第一次世界大戦が始まると、航空機は偵察のための道具として用いられるようになります。

第一次大戦初期は、敵国のパイロット同士がすれ違っても、互いに手を振って別れるような牧歌的な光景が見られました。ところが、いつしかパイロット同士が拳銃で撃ちあうようになり、さらに航空機には機関銃が搭載されるようになっていったのです。このようにして、航空機を撃ち落とすための航空機=「戦闘機」が誕生しました。

また、第一次大戦初期には、敵の地上部隊の上空からレンガなどを落としていたものが、爆弾を搭載するようになり「爆撃機」も誕生したのです。

 

第二次世界大戦と航空機

1939年に第二次世界大戦が始まると航空機はより重要な役割を果たしました。

都市爆撃や地上部隊の支援、艦隊攻撃などで航空機は目覚ましい戦果を挙げるようになり、敵の航空機を撃墜し、味方の航空機を援護する戦闘機の役割も極めて重要なものとなりました。

航空機の技術や運用が、戦争の行方そのものを左右するほどに影響力を持つようになったのです。

 

朝鮮戦争の空中戦

朝鮮戦争は初のジェット機同士の空中戦が行われた戦争となりました。

ジェット機そのものは第二次大戦中に、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本などで開発が進められていました。しかし、ジェット機 VS レシプロ機の戦闘こそありましたが、ジェット機 VS ジェット機の戦闘は行われていませんでした。

朝鮮戦争では、アメリカのF-86セイバーと、ソ連のMiG-15というジェット機同士が激しい空中戦を繰り広げました。両機の性能については、F-86とMiG-15で撃墜率が10:1、4:1、2:1など様々な議論がありますが、F-86のほうが撃墜率が高く「強い戦闘機」だったという点はおおむね意見が一致しているようです。

 

MiG-15の登場とF-86の投入

朝鮮戦争開始当初、北朝鮮軍はジェット機を保有しておらず制空権は国連軍にありました。しかし、1950年10月に中国人民義勇軍が参戦すると、ソ連から中国に供与されたMiG-15が戦場に現れ、国連軍の損害は膨らんでいきました。第二次大戦中、日本を苦しめた爆撃機であるB-29も、ジェット戦闘機のMiG-15には太刀打ちできず1951年には昼間爆撃の任務から外されたそうです。

米軍を主体とする国連軍は、MiG-15に対抗すべくジェット戦闘機のF-86を投入し、朝鮮半島上空では激しい空中戦が繰り広げられたのです。

 

米ソ直接対決は起きていた

冷戦中は米ソの直接対決は起きなかったとよく言われますが、実は朝鮮戦争で米ソは直接戦火を交えていたのです。

どういうことかといいますと、中国軍のものと思われていたMiG-15の中に、相当数ソ連軍パイロットが操縦していたものがあったのです。このことは、冷戦終結後にソ連の内部文書が公開されて、初めて明らかになりました。

では、なぜソ連軍パイロットがMiG-15を操縦していたことが、国連軍側に発覚しなかったのでしょうか。これは、ソ連軍のパイロットが、味方である中朝軍の支配地域上空でしか戦闘を行わなかったからです。そうすると、仮にMiG-15が撃墜されて場合でも、機体とパイロットは中朝軍の手に渡ることになり、国連軍はソ連の関与を知ることができなかったということです。

このような事情のためか、中朝軍の支配地域上空はMiG-15との戦闘多発地帯となり、国連軍からは「ミグアレイ」と呼ばれるようになりました。

「米ソ直接対決」のお話のように、歴史を細かく見ていくと、世間一般で言われていることとは違う、新たな事実が見えてきて非常に面白いと思います。

 

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